歌にこめられた、高橋のりえという人間
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は高橋のりえをご紹介します。
包み隠さず見せる潔さ
歌詞がついている音楽というのは、時として日常の邪魔になる。一方で高橋のりえの歌は、生活に不必要な干渉をしてこない。ただそこにあり、ただそこで鳴り、聞こえてくる。
以前は声を荒げるように歌っていた彼女だが、365日路上ライブを機に歌い方を一新。「景色の一部になろう」と思い立ち、現在のような目の前の人に届けるボーカルスタイルになったのである。
本人も「自分の音楽は人間を表しているだけ」と話していたが、高橋の音楽に触れているとその意味がよくわかる。自分の命を削っているような焦燥感もなければ、天から降ってきたものを放出しているわけでもない。今あるものを素直に包み隠さず見せる、そんな潔さとフラットさが彼女の魅力なのである。
先日配信が開始された「蛹」は、彼女にとって3rdシングルとなる作品。日本映画大学卒業制作ドラマ「蛹の中」へ書き下ろされた楽曲になっており、憂いを帯びた透明感のある歌声が真っすぐに響く。迷いも越えてきた彼女だからこそ歌える1曲だ。