memento mori.の危うい美しさに浸る

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はmemento mori.をご紹介します。

二律背反に惹かれる

東北を拠点に活動している2001年生まれのアーティスト、岡﨑豪太によるプロジェクト・“memento mori.”。
初リリースとなるシングル『毒 / memento mori』には、このプロジェクトの在り方を凛と証明する2曲が収録されている。

「死を忘ることなかれ」――メメント・モリという言葉が持つ意味と、それを包み込むように存在する諦観、空虚、希望、救済……渦巻く感情をそのまま音にしたような轟音に飲まれる『memento mori』。
押し寄せる音は激しいが、絡み合う各パートの間にはひとつのノイズもなく、透き通ったボーカルが芯となり重厚な世界を描き出している。
しかし、疾走感ゆえに軽やかな青春の空気も感じられ、その不思議なバランスにはつい惹かれてしまう。
『毒』はピアノと歌声を中心として構成された一曲で、静謐な神聖さを漂わせると同時に、もう戻れない場所へ踏み込んでいく恐ろしさ、背徳感を背後に香らせる魅惑的なナンバーだ。
この『毒』『memento mori』どちらにも共通しているのは、繊細だからこそ、美しいからこそ、壊してしまいたくなるような危うさ。
二律背反の魅力が胸を衝く意欲的な作品になっている。

今後このプロジェクトでは、他のボーカリスト等も迎え制作を続けていくという。
きっとまだまだ広がっていくmemento mori.の世界の果ては、一体どこにあるのだろうか。