LONEが言葉と音で叫ぶ哲学
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はLONEをご紹介します。
凶暴なまでのエモーション
音楽を構成する要素はいくつもあって、それをどう聞くのかということも人の数だけ存在する。
LONEを聞くとき、私は、歌詞と歌声という世界の広さを思い出す。
2005年に結成され、大阪を拠点に活動を続けるLONE。
彼らを語るためには、言葉の力というものを無視することはできない。
配信シングル『シュレディンガーの君へ』は、題名通り、有名かつ難解なパラドックス“シュレディンガーの猫”を感じさせるテーマを孕んでいる。
世界から爪弾きにされたふたりが手と手を取り合う様子が文学的に描かれる歌詞は、小説のページを1枚ずつ捲るときの高揚感でリスナーを惹き込んでいく。
息を継ぐ間もないアグレッシブな演奏がさらに没入感を高め、私たちは気がつけばLONEが描き出す景色の中に立たされてしまうのだ。
閉鎖的で、外にいる人々の目に晒される場所にいたとしても、自分たちのことは自分たちにしか分からないし、二人でしか語らえない。
そんな芯ある覚悟を高らかに告げる言葉が毛利の透き通った歌声によって吹き抜けていく、美しさと寂しさを香らせると同時にエネルギーにも満ちた一曲になっている。
LONEは、凶暴ささえも感じるほどのエモーションを纏って駆けていく。